【ミイラ取りがミイラになった!? 前代未聞の事件が発生】


税金の無駄づかいをチェックする人が、その存在意義を問われる事件が、逗子市で発生した。


今月いっぱいまで逗子市議会の決算議会が開催されている。


議会に17名いる議員のうち、8名が決算特別委員になった。そのうちの一人に選ばれて1週間にわたり調査をして、16日に市長や幹部職員が出席して総括質疑が行われた。


逗子市には17名の議員から選ばれた議会選出の監査委員と、外部の有識者から市長に任命される外部監査委員、この2名の監査委員が存在する。


建付け上は、この2名の監査委員が日ごろから市役所の内部監査に目を光らせる(ことになっている)。


外部監査委員は私が逗子市長に就任した時は、逗子市のOBが就任していた。


しかし、市のOBが身内に厳しくチェックできるはずがない。審査が甘くなったり、悪いことに目をつぶる可能性があるため、すぐに公認会計士の有資格者を外部登用するように変えた。


公認会計士は企業の監査・会計のプロである。かつて、私が国会議員時代に事業仕分け人を務めた時も、何人もの公認会計士が事業仕分け人に選任されていた。


逗子市の現在のT・S監査委員も、公認会計士である。


この監査委員が「決算の内容及び予算の執行状況等については、おおむね適正なものと認められた」などと令和3年度逗子市一般会計及び特別会計歳入歳出決算意見を出した。


ところが、今の桐ケ谷市長のもとで公共事業の平均落札比率は96.2%(工事、令和3年度決算)。


なお、私が逗子市長を退任した年の落札比率は79.0%(工事、平成18年度決算)。


つまり、私は公共事業の発注の際に、2割以上ディスカウントしていたのに、桐ケ谷市長はわずか3.8%しか値切れていないことが改めて浮き彫りになった。


ちなみに、選挙が近くなると、「長島市長は文化教育ゾーンを建設して、逗子市の財政を悪化させた」というデマが繰り返し流されるが、平均落札比率が8割で推移していたからこそ、在任中8年間で60億円以上の入札差金を生むことができた。


このため、借金を減らしながら67億円規模の文化教育ゾーン事業を建設できたのである。


財政調整基金(市の貯金)を計画的に積み立てたものを一時的に取り崩して建設したこと1点を取り上げて、財政悪化の攻撃材料にするデマゴーグもいるが、家計と同じで利息が発生する借金をやたらと増やすよりも、貯えを活用するのは自治体経営の王道である。


いずれにしても、借金を減らしながら文化教育ゾーンが建設できたのは、職員半減化と60億円以上の入札差金のおかげである。


数字やエビデンスはうそをつかない。


桐ケ谷市長は事業者に対して、「適正価格があり、それを崩してはいけない」などというが、緑地管理伐採業務委託(30か所)、金額5254万2600円では、競争入札にかけることなく、随意契約で市内6社の事業者に順番で工事費を割りあてた。


随意契約の大義は「緊急」というが工事の使用前・使用後写真を見ても、すべてがあいみつを取るほどの暇がなかったようには全く見えず、これを税金のバラマキといわずして何と言おうか。


また、中学校の給食予約システムやセキュリティコンサルティング業務委託料、職員採用試験業務委託など、代替業者がいくらでもあるにもかかわらずその理由が明確に示されないまま、長年、惰性で1社随意契約をくりかえしているケースも数多い。


さらには、小坪漁港第11号護岸フェンス工事土台補修工事費では、最初の入札の落札比率は100%応札。


このため、追加工事費についても、相手の言い値のまま値切ることなく発注したという。


逗子市の場合、追加工事や契約変更については、最初の落札比率をあてはめて金額を積算しているが、桐ケ谷市長のように事業者に優しい市長の場合は、最初の入札が高値落札するケースが乱発している。追加工事や契約変更の積算では最初の落札比率を適用しないという新たなルールで市が予算を積算しないと、これからも事業者に二度ぼられる。


この点は、決算特別委員会の総括質疑で私から桐ケ谷市長に直接質問、改善提案をしたが、事業者にいい顔をしたいからか、それとも、踏み込んで予算の節減作業に携わっていないからか、その両方なのかわからないが、反省の色も、ルールを変える姿勢も皆無であった。


挙げたら枚挙にいとまがないが、桐ケ谷市長は税金のバラマキ、無駄遣い、垂れ流しをこの4年間続けてきただけでなく、市長就任時年の落札比率85.3%(令和元年度決算)から96.2%に10%以上も悪化させたことに象徴されるように、税金の無駄遣いをますます加速させている。


このような状況を見逃してきた代表監査委員の責任は重い。


この点について決算特別委員会の総括質疑で、代表監査委員にも問い質したいと思っていたが、なんと欠席であった。


やむを得ず、代わりに監査委員事務局長に私が指摘したような改善点を、代表監査委員が内部監査で事務局に挙げていたか聞いてみたが、まったく何も指摘はなかったと答弁があった。


これでは、プロの公認会計士としては視点が節穴であったとも批判されてもやむを得ない。


しかも、私の元市長としての経験則からも、決算特別委員会の総括質疑の日に、代表監査委員が欠席したことなど、これまで聞いたことがなかった。


その欠席理由が病気ならば仕方ないものの、公認会計士協会の研究大会に出席するために欠席したという。


決算議会に外部監査委員が不在。


たとえて言うならば、結婚式の日に、新郎か新婦がいないようなもの。


決算特別委員会の総括質疑では、それくらいの主人公である。


外部監査委員が、税金の無駄遣いを見逃し、黙認し、しかも、議会を休んでほかの仕事に取り組んでいたことは到底許されるものではない。


この件について任命権者である桐ケ谷市長に質したところ、事後に適切に対応すると言っていたが本当にけじめをつけさせることができるか。


また、桐ケ谷市政のこの4年間、ほぼ(一部例外あり)オール与党でいわゆるシャンシャン議会で進んできてしまった逗子市議会。


外部監査委員が逗子市議会を軽視しているからこそ欠席したと受け取らざるをえない。


このため、さすがに逗子市議会も決算特別委員会において、ひとつを除きすべての会派が「監査不十分」と賛成して継続審議となり、次の逗子市議会に、代表監査委員を呼んで質疑を行うこととなった。


決算特別委員会の継続審議は1985年以来で、実に37年ぶりのこととなったが、この4年間の桐ケ谷市長の税金の無駄遣いは、行政のチェック機関である市議会だけでなく、外部監査委員のたるみから生じたことを象徴した「監査委員の議会欠席」事件であった。


外部監査委員が税金の無駄遣いをチェックするという機能を果たすことができなければ、外部監査委員の報酬自体が税金の無駄遣いになってしまう。


ミイラ取りがミイラになってはいけない。


議会欠席事件のみならず、逗子市の税金の無駄遣いの横行を許している責任はとても重い。