それなー、って感じ。
そこ。
何のために、世界の舞台に立つのか?
今回、実行委員会として世界選手権に派遣した兼随行コーチ役の小松大悟選手のレポートの一節に凝縮されています。
彼からJWAに報告した内部資料ですが、よくまとまっているため、ここに引用公開します(※本人了解済)。
間もなく、ジャパンカップ通常エントリー〆切間近ですが、2024年世界選手権(ハンガリー)、欧州選手権(ギリシャ)、アジア選手権(シンガポール)の開催予定場所もすべて出そろいました。
ぜひ、他のフィールドにも応用可能なスキルをつかむために、ひとりでも多くの選手に海外の舞台で活躍していただきたいと思います。
ーーーーー引用開始 【2023Techno293Plus世界選手権レポート】
本年度の世界選手権フランス大会で随行コーチを務めさせて頂きました本田技研工業(株)の小松です。
今大会のレースレポートをお送りします。
>>
7/30〜8/5にかけてフランスのキブロンで2023 Techno 293 Plus World Championships が開催され、日本からは学連ナショナルチームメンバー(以下NT)5名とジャパンカップからの出場支援選手を含め合計10名が参戦しました。
ご存知の通り、日本の学連で普段使用しているTechno(7.8㎡sail/46cm fin)は世界標準では中学生用の道具であり海外大会では高校生を過ぎると一回り大きいTechno Plus(8.5㎡sail/50cm fin)を使用するため、毎年日本代表選手は大会前入り期間中に普段と異なる道具にどこまで素早く適応できるかがキーポイントになってきます。
例年感じるのが、ただでさえ普段と異なる道具への適応が必要で不利な日本選手団が前入り期間の調整練習を個人ごとにバラバラに行っており効果的に行えていないという課題で、本年度はここを何とか一つ改善したいという想いがありました。
自分がこれまで道具選定の自由度が高い国体級で経験してきた短時間でより良いチューニングを出すためのスキームを全員で協力して前半で行い、全員の道具のチューニングが出た状態でパンピング練習に移行、そして最後に地元フランスチームと海上でマークを使った合同練習で実戦的な走り合わせをすることで限られた時間の中で全員が最低限レースに臨める状態をシステマティックに作り出せたことは、例年と比べて今年の日本チームの一つの成果だったと思います。
一方で今年の最大の試練は、前入り期間の中風コンディションに対してレース本番日程のほぼ全てがオーバー風域となったことで、学連NTメンバーでさえも何度も流れてレスキューされていることからもその過酷さが窺い知れると思います。
学連から派遣の日本代表チームがコーチボートを出さないことは例年それほど大きな不都合にはなりませんが、今年の度重なる日本チームのレスキューに運営ボートのみならず他国コーチボートも多く出動にあたらせてしまったことは我々日本チームの体制の反省として来年には必ず改善しなければならない点です。
例えば数年前の日本代表ユースチームでやっていた、海外チームとのコーチボートシェアなどの形であれば少ない予算で最低限のレスキュー体制だけでも整えられるのでは無いかと思っており、今年できた他国コーチとの新しいつながりを活かしながらアクションできないかと考えております。
レース内容としては、例年パンピングが必要な中風域までは日本人が世界大会で前を走る光景が多く見られますが今年はほぼ全てがオーバー風域ということで終始U19クラスの海外勢に圧倒される展開となり、特に男子の先頭集団に至っては目視できないほどの距離を開けられるレースが目立ちました。
そんな中でもNTキャプテンの片山君(滋賀)が2本のU19を含む総合3位フィニッシュ、大島君(明治)が最終レースで総合2位フィニッシュを決めるなど先頭集団に食い込む走りを見せ、片山君は見事にOPENクラスで優勝(Techno Plus総合6位)で表彰式に君が代を響かせてくれました。
滋賀大学HP紹介: https://www.shiga-u.ac.jp/16541/... ※片山選手は近く滋賀大学の学長室に招かれ改めてそこで今回のオープンクラス世界一達成をプレスリリースする運びになりました。
※他出場者のリザルトは下記の通り
【Techno Plus / OPEN /男子リザルト】 ・片山好人(滋賀大): 1位(T+総合6位) ・小松大悟(ホンダ):4位(T+総合12位) ・大島春哉(明治大):5位(T+総合14位) ・森健太郎(明治大):6位(T+総合18位) ・江渕堅翔(日本大): 8位(T+総合32位) ・鈴木颯乃介(早稲田): 9位(T+総合35位) > Link: https://worlds2023.techno293.org/.../140/64ce5b0589d77.htm
【Techno Plus / OPEN / 女子リザルト】 ・山下響(関西学院): 4位(T+総合8位) ・大島萌(富士フイルム): 5位(T+総合9位) ・岡朋加(明治大): 8位(T+総合16位) ・廣瀬こころ(玉川大):9位(T+総合20位) > Link: https://worlds2023.techno293.org/.../140/64ce5b1592dec.htm
- レースレポート以上 -
<世界選手権参加のすすめ> 学生時代に世界選手権に参加することは、競技に本気な選手ほど躊躇する人も多いかと思います。
インカレとは異なる規格の道具への一時的な適応や、遠征費などの金銭面、一定期間日本から離れることによる期末テスト等の学業への影響からも、目先のインカレの順位を追う中で世界選手権に参加する意義というのを明確に見出すのが難しいことは、かつての自分がそうであったからよく理解できます。
そんな自分も現役ナショナルチーム時代に疑問を持ちながらも何となく世界選手権に参加しましたが、振り返って見るとインカレが霞んでみえるほど沢山の大きなものを得たことに後から気が付き、その一部を共有できればと思いこの場を少しお借りいたします。
四年生になり国内レースの大半で優勝を積み重ねていた当時、世界の走りを目の当たりにしなければ全く気が付けなかった自分に残された伸び代の大きさを認識できたことはその後の熾烈なインカレ優勝争いの中で自分の大きな武器となり、また卒業後もF1の設計の仕事において海外勢と企業を掛けた真剣勝負をする中で怯まずにきっちり立ち向かえているのは生身で世界で戦った経験から来る根拠の無い自信であり、そして世界各国に散らばる公私問わず必要な時にお互いに頼れる世界選手権で繋がった友人達は自分の人生における何にも変え難い財産となりました。
人によって得られるものは違うと思いますがどれも人生において大きく貴重な財産になることは間違いなく、まだこの先チャンスがある人は是非全力でそれを取りに行ってみてください。
当初は全員不参加を決めていた今年のNT達。
世界一となったキャプテンを筆頭に、各々何か得たものはありましたでしょうか?
学連から支援を受けてこの機会を得た分、しっかりその感じたことを学連の子達にフィードバックしてあげてください。
来年の世界大会への道はもう始まっています。自分の可能性を広げるためにチャレンジできる人が1人でも増えることを願って下記にジャパンカップ大会情報を再掲致します。
>> 2023テクノ293ジャパンカップ(世界選手権支援選抜)の大会公示リンク先 https://jw-a.org/.../uploads/2023/04/2023japancup-kouji.pdf デジエントリーリンク先 https://dgent.jp/e.asp?no=2300159 2024年世界選手権、世界選手権、アジア選手権(2月シンガポール)の派遣支援選手を選抜します。通常エントリーの締切はあと11日後(8月22日)です。
末筆で恐縮ではございますが、今大会派遣準備から大会期間中に至るまでのあらゆる面で本当に多くのサポートを頂いた、Tahe Outdoors Japan代表の内海さん、ジャパンカップ実行委員会ゼネラルプロデューサーの長島さん、JWA事務局の永田さんを初め、関わってくださった全ての方に厚く御礼を申し上げます。
2023 Techno293 Plus World Championship 日本チーム随行コーチ役 小松大悟