【高齢者免許返納 一石四鳥!?の改善方法】

逗子市・新宿にお住いの女性から、「小坪の緑が丘にお住いの85歳のお父様に自動車運転の危険性から免許を返納させたい。しかし、現実には免許返納をすれば移動手段の足の確保が難しい。免許返納を促すべく、対策を打ってほしい」というご依頼をいただいた。


逗子では今年、JR逗子駅前ロータリーで「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」という80代の男性が60代の男性をはねるという事件が発生したが、免許返納を促進させる手段はないものだろうか。


下のグラフにみられるように、年齢別に事故を起こす状況を見ても、20代と並び85歳以上が死亡事故を起こしているケースが多い。

逗子市の高齢化率は31.24%(2022年8月)。


2040年には40.8%に到達するという予測もある(GD Freak)。


年々加速度的に増えてゆく高齢ドライバーに、いかに免許を返納させるか。


逗子のみならず、全国的な課題といえよう。


下のグラフにあるように、年々、高齢者の免許返納は増えている。

運転経歴書を提示すると、各自治体により特典が付与されるケースがあるが、逗子市としては、独自にまだ何も対策をしていない。


市内の民間企業が、例えば、運転経歴書を提示すると石之屋さんで新規お墓の工事代15%割引、あるいは、エス・ビー石油さんでクオカード1,000円分贈呈の二つにとどまる。


なお、逗子市警察署管内での免許返納の実績数は

令和元年 396人

令和2年 355人

令和3年 337人


このように年々、返納者数は減っている。


逗子市長時代に、京浜急行バスと交渉して小坪の亀ヶ岡団地と池子のアザリエ団地にはミニバスを開通させた。


その他、小坪の南ヶ丘団地や沼間アーデンヒルも検討していただいたが、京急側が採算を理由に実現してこなかった。


タクシー券の助成という方法も考えられなくはない。


例えば、千葉県のいすみ市では市内循環バスの運賃半額。また、タクシーでは、福祉タクシー券(1回の利用につき、800円を限度とする利用券最高24シート)の交付をしている。


免許を返納した方に限った事業だとしても、それなりの財源が必要となる。


ちなみに、いすみ市ではいすみ警察署管内での免許の返納者数は

令和元年286人

令和2年241人

令和3年221人


以上のように、タクシー券の助成が必ずしも免許返納を促進しているともいえないようだ。


ただ、免許返納は、免許を返納をさせることが目的ではないはずで、その目的は高齢者が身体機能の衰えから、アクセルとブレーキの踏み間違え。


あるいは、高速道路の進入路を間違えた逆走など、高齢者による危険運転による事故を防ぐことが真の目的であるはずだ。


このため、タクシーやバスの補助が出るから、免許返納はしないけど、車の利用を控える人がいてもおかしくない。


つまり、免許返納者数の推移だけを追っても、さらに、どれだけ高齢者の危険運転の機会やリスクが減ったかを捉える必要がある。


逗子市が大手自動車メーカーとタイアップして、全自動運転の実用車の開発に乗り出すことも手だが、まだまだ時間を要するだろう。


高齢者の危険運転を回避する方法として、やはり、車以外の足をいかに確保するかがカギを握る。


今回、逗子市議会決算特別委員会で、39の全セクションに「随意契約理由書(概ね過去3か年分)を提出させた。


随意契約理由書の中で目に留まったのが「福祉バス運行事業」である(下写真)。

逗子市が実質のオーナー企業である(株)パブリックサービスが長年1社で随意契約をしている案件。


年間1713万2000円の予算を計上している(令和3年度決算)。


「問題なく適正な理由がされている事業者」という理由のみで長年1社独占である。


誰も気が付いていないが、実は福祉バスの年間予算1713万2000円を、延べ乗車人数9814人(令和3年度実績)を割り返すと、一人当たりの1回の乗車単価は約1745円である。


(株)パブリックサービスの福祉バスはシニア雇用促進も事業目的とはいえ、一人当たり1回につき約1745円もコストがかかっているのであれば、現在の利用者には、タクシーに相乗りしていただいた方がはるかに安いというコスト分析になる。


かつて、広報ずしが同じように長年、1社随意契約であった。


これを他の事業者と競争させたところ、ほぼ同じ値段で月1回から2回の発行ができるようになった。


しかも、もっと驚いたことは落札した従来からの事業者だったのである。


この話を繰り返し引用するのは、1社任せにしておくと、事業者があぐらをかいて、契約金額をぼられたり、サービス内容が低下するからである。


広報ずしの場合で言えば、長年、逗子市民は同じコストで実質半分のサービスしか受けられていなかったことになる。


この経験に照らして考えてみると、(株)パブリックサービスの福祉バスの件も、競争させるとサービス内容が改善させることできるのではないか。


そもそも、逗子市が50%を超える最大株主として実質オーナーであるため、強制的にサービス内容を改善させることもできる。


この前提がある中で、今回の決算特別委員会の調査でわかったこと。


それは、(株)パブリックサービスの福祉バスが、緑ナンバーから白ナンバーに変更されていたことだ。


福祉バスは、緑ナンバーであると二拠点運行しかできないという制約があった。


緑ナンバーの時は、市役所から高齢者センターへの2拠点移動しかできなかった。


それを令和2年度から池子の逗子アリーナでの途中下車を可能にするため、福祉バスが白ナンバーとなった。


白ナンバーになったことで、陸運局の許可があれば3拠点以上の移動が可能になる。

陸運局の許可条件は、地元のタクシーやバス事業者の同意や理解が必要だという。


福祉バスがどこでも自由に、誰でも乗せて走るようになれば、タクシーやバス事業者の利用者を減らすことになるため、なかなか同意は得られないかもしれない。



しかし、福祉バスに乗車できる方を免許返納した方に限ることができれば、既存のパイを食い合うことにならないのではないか。


むしろ、免許返納をされた方は、福祉バスが利用できないときはタクシーを使用するかもしれず、タクシー事業者の利用者が増える可能性すらある。


しかも、福祉バスを新たに走らせる路線を、アーデンヒルや小坪の南が丘や緑が丘などバス交通の不便地区に限れば、タクシーやバス事業者の既得権益を過度に侵すことはないはずだ。


この方法であれば、超高齢ドライバーも安心して免許返納が可能となり、タクシーやバス事業者も既得権を侵されることなくむしろ客足が増えるかもしれず、何よりも、逗子市民が高齢者による危険運転の犠牲になることを未然に防ぐことができる。


しかも、現状、一人当たり1回につき約1745円もコストがかかっている改善課題も、バスの運行路線が増えることで、バリュー・フォー・マネー(金額に見合った価値のこと)の改善につながる。


まさに、一石四鳥の効果すら見込むことができる。


市民の声を受けて、点と点を線でつなぎ、市民の生活を改善するプロデュースをすること。


福祉バスの提案は一例に過ぎないが、逗子発のモデル事業を発信することで世の中をよくしてゆきたいと思う。