
何年かに一度、急に山に登りたくなるときがあります。
今回は、知床半島にある標高1660mの羅臼岳登山に挑戦。
山頂まで、往復約10時間と聞いていたので、朝7時に出発。
しかし、いきなり登山口を間違えて1時間半もロス。
その後は、正規の登山道を歩くと想定以上に快適。
8月というのに残雪あり、高山植物を目にしながら5時間半かけて、山頂に辿り着きました。
行きの道すがら、弁当を食べてしまい腹ぺこで困っていたところ、頂上で一緒になったカップルが、菓子パンやアーモンドチョコ、ハイチュウを分けてくれました。
普段はハイチュウなど食べませんが、ここで食べたハイチュウのなんと旨いことか。
何よりも、知床半島を俯瞰できるだけでなく、北方領土の国後島まで遠望できる最高のロケーションに言葉を失いました。
僕の方が足が遅いからと、カップルに別れを告げ、下山を開始した直後、下山ルートの目印を見失ってしまいました。
周りはゴツゴツした岩場で、山頂に戻る道も、下山するルートもわからず。
しかも、300メートルほど下の熊よけのフードロッカーの近くに、ジャンパーや長ズボンが入ったリュックは置いて来てしまったため、写真のようにTシャツ、短パンの軽装。
日が暮れてしまったら、テントも無いのにヒグマが出没する登山道で野宿を強いられる。
それ以前に、残雪がある山頂付近の岩場でこの軽装のまま脱出できなければ、夜は気温が5℃くらいまで下がるため、死ぬリスクさえある。
かつて、鎌倉の坂の下沖で誰もいない場所で、ジョイントブレークしてボードと身体が完全に離れてしまったとき以来のピンチ。
ちょっとパニックになりそうになるくらい、焦ってしまいました。
まさに、進むも地獄、戻るも地獄状態。
気持ちを落ち着かせ、崖に出くわしたら、一旦上に戻る。
ハイマツや苔が生えてる場所は、多少怪我をしても歩みを進める場所と腹をくくりました。
ただし、ハイマツの下がクレパス状態になっていないか、手にしたストックで突っつきながらです。
道なき道をかき分けて、ようやく15時45分に脱出。
本来はリュックを置いた羅臼平まで、25分で降りられるルートなのに、山頂付近の下山だけで80分もロスしてしまいました。
リュックサックをピックアップしてからは、日没までの時間との闘い。
下りはほとんど休みを取らず、日没間際にようやくその日、最後の下山者として登山口の記帳台のノートに署名しました。
早いひとは朝の4時半から登っていましたが、やはり、山登りは不測の事態に備えて、早めに出発すべきことを痛感いたしました。
無事に帰還と顛末を妻に報告したところ、「もう登山は禁止!!」とこっぴどく叱られました。
散々な目にあったこの登山ですが、その後、どんなに体力的にも、精神的にもつらいときには、このときのことを思い出すと、どんなにピンチのときでも「羅臼岳登山に比べれば」とラクチン、ラクチンと思い聞かせて何事も踏ん張ることができるようになりました(笑)