極力お金のかからない強力な津波対策とは?

 

リクルートの調査などでも住みたいまちランキング関東圏で1位になるなど、人気は急上昇です。


 だから、最近は逗子の不動産屋さんに行っても、逗子の物件は依然に比べて半減化し、逗子に移り住もうとするにも適当な物件がなかなかみつからない。なかでも、海岸沿いの物件については、好みが分かれ、「津波が怖いから」という理由で高台の住宅地を選ぶ方も多いと伺います。


 そこで、逗子市の魅力を高めるには、以前にも増して津波対策は避けては通れません。


 このため、今回、『逗子発2030政策シナリオ』のPOLICY⑥に以下の政策を盛り込みました。


・東日本大震災後、津波想定の変更(※1最大5mから最大10m)に伴う住民投票も視野に入れた 逗子市まちづくり条例の改正検討(津波避難ビル協力地には高さ制限の緩和など)」


 これは何十億円もかけて、防潮堤を建設するような話ではなく、コストという面ではほとんど直接はお金を投資しないでできる政策といえます。


 どういうことかというと、逗子市の津波想定は、2011年の東日本大震災の前までは4.8~4.9mでした。この津波想定の高さは、国道134号線とほぼ同じです。


 つまり、過去の津波想定は、津波が来たとしても逗子市内は浸水しないという想定だったのです。


 私が最初に逗子市長に就任した1998年は、前市長が新宿地区の高さ制限を緩和したことが、当時はバブル崩壊後の保養所など閉鎖などと相まって、跡地が乱開発されるという事態を引き起こしていました。このため、私は逗子市長に就任してその4ヵ月には開発指導要綱の高さ制限を15mから10mに引き下げました。


 さらに、2002年には逗子市のまちづくり条例によって、このような規制を確固たるものにしました。


 ところが、2011年に東日本大震災が起きてからは津波想定が倍の10m想定に変更されました。この津波想定では、逗子海岸から直線距離で約2キロも離れた逗子アリーナまで津波が到達することが予測されています。


 本来であれば、津波想定が大きく変更されたことで、逗子市まちづくり条例による高さ制限が10mのままでよいのか、否か。速やかに検討して、改善検討する必要があったのではと強く危機感を持っております。


 逗子市のまちづくり条例は、米国のカーメル市の景観規制や真鶴町のまちづくり条例などを参考にして、市民参加で作られた当時は逗子市のまちなみを形成していくうえで、今も大切にされている条例です。


 米国カーメル市の当時のスー・マクロード市長に、ヒアリングした際、「カーメルのまちなみを作るのには100年かかってここまできた」と、景観規制と所要時間について力説しておりました。


 同じように逗子市のまちづくり条例は、開発事業者に対して、市民、議会、行政が三位一体になって対峙するための、いわば「市民の側に立つ環境保全」のための長期スパンを見据えたツールです。


 しかし、時代や状況変化にあわせて的確にメンテナンスしてゆくことも必要ではないでしょうか。特に、条例が制定されて今までの20年間に、数百年に一度といわれる大津波による災害が生じました。


 だから、津波想定が変更された部分は、本当に現状維持のままで良いのか、変えるとすればどこまで緩和するのか。


 特に、災害時の津波避難ビルの指定がなかなか進んでいない現状を考えると、特定のエリアを全て高さ緩和するのではなく、津波避難ビルの指定を受けて、災害時には不特定の市民の一時避難場所として協力する約束をした方にだけ、高さ緩和する方法も選択としてはありえるのではないかと考えています。

 検討、議論して、場合によってはせっかく逗子市が有している常設型の住民投票条例も活用して、市民による思い切った英断が必要なのではないかとも思います。


 私は、この逗子市まちづくり条例の改正検討は、政策パンフレットには、紙面構成上たった4行しか書かれていない政策ですが、逗子市のまちの未来を考えるうえではとても重要な政策論点のひとつになると受け止めています。