逗子市公営塾創設の狙いとは!?



東大生って、早生まれの子が少ないって知ってましたか!?

東大の先生が生徒の星座を調べたら、1月、2月などの早生まれの子が少なく、4月、5月生まれの子が多かったとか。理由は、受験戦争の前倒しで、小学校のいわゆる「お受験」において、同級生でも、4月生まれの子と3月生まれの子の間では、実に1年の成長の差が生じるからだといいます。

 この受験戦争の前倒しがそのまま尾を引いて、日本の最難関とされる東大生は早生まれの生徒が少ない。また、小学校からのお受験に参戦できるのは、比較的裕福な家庭の子に限られ、東大生の親の世帯年収は6割以上が年収950万円となっています(2018年東京大学「学生生活実態調査」)。

 東大に行くことが必ずしも、幸福行きの片道切符になるわけでもありませんが、相対的にキャリア選択の幅が広がるのは紛れもない事実です。

 今回、私の書いた『逗子発2030政策シナリオ』の5頁目に「逗子市公営塾」の創設と記載しています。この逗子市公営塾を創設する狙いは「どんな家庭に生まれても、偏差値に関係なくキャリア選択の幅を広げられる社会を逗子に創ろう」ということです。

 98年-06年の逗子市長時代から、教育政策は重点政策のひとつです。なぜならば、当時から「所得間格差が教育格差につながっている」という指摘や危惧があったからです。このため、全国初の市としての教育長の全国公募、全国に先駆けた公立学校での少人数授業の展開(2002年1月17日読売新聞1面記事)を展開してきました。

さらに、今回は、小中学校の給食無償化、学習アプリへの補助に加え、「逗子市公営塾」が、どのような授業をするのかについては、私がゼロベースから創った石垣市公営塾の1分40秒の動画をご覧いただければ一目瞭然です。

 私は2018年5月から2019年の7月にかけて、沖縄県石垣市から委嘱を受けて、この公営塾を立ち上げました。


 所得間格差が教育格差につながっているという点では、沖縄県はとても顕著でした。

 ひとりあたりの県民所得の全国1位の東京都が450万8000円に対して、沖縄県は210万2000円。大学進学率でいえば、やはり全国1位の東京都が72.7%に対して、沖縄県は37.6%(全国レベルとしては昭和50年前後の水準)。所得と大学進学率の格差はともに倍くらいあるわけです。

島の高校生たちに進路カウンセリングを行うと「親に負担をかけたくないから」という理由で、「高校を卒業したら警察官になりたい」。あるいは、「国公立しか選択肢がない、ダメなら就職」という声が普通にありました。生徒の中には、「大学に行く意味が見いだせない。だから、高校卒業後は海外に1年間留学して、その後起業家になりたい」という、自らキャリアビジョンを持った子もいましたが、家庭の経済事情が生徒の進路決断に大きく影響しているのは間違いありませんでした。


 はっきりいって、沖縄県に比べたら、逗子の子どもたちの方が経済的には恵まれていると思います。親の教育的関心も非常に高く、大学進学率も全国平均を大きく上回ると思います。

 しかし、みんなが経済面を心配せずに、大学や希望する専門学校などに必ずしも行けるわけではありません。昨年は「親ガチャ」という言葉(親ガチャ」とは、子どもがどんな親のもとに生まれるのかは運任せであり、家庭環境によって人生を左右されること)が流行語大賞にノミネートされましたが、子どもは親を選べないのです。

 だから、家庭が貧しくても進学できる公教育で、大学に進学すること以上に、その子供の潜在力を引き出し、キャリア選択の幅を広げてあげることがとても重要な政策だと思っています。

 私の大学受験時代は、ペーパー試験ができなければ入試を突破することができませんでした。しかし、今は、私立大学の50%以上がアドミッション・オフィス入試(AO入試)を採用しています。小論文もありますが、メインは①今まで何をしてきて、②そこで何をつかんで、③それを大学やその後の社会でどのように活かしたいのか。この3点を志望理由書や面接で、うまくプレゼンテーションできれば偏差値とは関係なく、希望する大学に入学できる時代になりました。

 沖縄県石垣市で、普通高校は八重山高校しかありませんでした(他は八重山商工と八重山農林)。偏差値は37です。


 偏差値37の学校の生徒でも、AO入試を活用して、青山学院大学、国際基督教大学(ICU)などの大学に合格。また、看護師を希望する学生も多く、希望の公立大学(名桜大学)短大に合格。さらには、東洋大学が実施している「独立自活」支援推薦入試に合格者を輩出しました。この制度は、合格者が入学後、東洋大学の事務局で働きながら学ぶことで、沖縄県民の一人当たり平均所得にほぼ近い年間206万円の収入を得ることできる。いわゆる苦学生には大変ありがたい制度でした。

 生徒のセールス・ポイントを強化するために、受験直前に映画製作を指導していたところ、「こんなんで大学に合格できるのか」という保護者からのクレームが入ったこともありました。その時はきちんと「なぜ、映画製作がAO推薦入試対策に有効か」授業の狙いを説明して納得していただきましたが、合格したときはその保護者の方にめちゃくちゃ感謝されました。


 この入試を突破できなかったら、本人は大学進学をあきらめざるを得ない環境にあったからです。


 もちろん、逗子市公営塾で、逗子市長が張り付きで高校生を指導することができるわけもないのですが、ゼロベースから立ち上げたので、ノウハウは頭の中にしっかり入っています。

 だから、逗子市長に戻ったら、石垣市公営塾をモデルに、逗子市公営塾を逗子市に再現したいと思っています。特に、石垣市公営塾で高校生に行っていたウインドサーフィン授業は、ウインドサーフィンでいえば、逗子の方がメッカです。

 98年-06年の逗子市長時代は、中学校の義務教育にウインドサーフィンを取り入れようと試みましたが、学校側が安全面を理由に、プールでの試乗しかできませんでした。

 しかし、高校生を対象に、逗子市が石垣市のように公営塾を立ち上げて取り組むことは何も障害はありません。石垣市では叶いませんでしたが、逗子市ならばウインドサーフィンの体育会枠で、明治大学への推薦入学も十分あり得る話です。

 どんな家庭に生まれても、偏差値に関係なくキャリア選択の幅を広げられる社会を逗子に創る。この1分40秒の動画にはこのようなビジョンが詰まっております。