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【現代の百叩き?伊東市議会の100条委員会】

更新日:8月16日


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袋小路に入ったような伊東市議会の100条委員会。


そもそも100条委員会というと、一般の人はどういうイメージを持つでしょうか。証人喚問のようなおどろおどろしいイメージがありますが、実際はどうなのか。


私自身、市長時代に地方自治法に基づく100条委員会を開催され、追及を受けたことがあります。 100条委員会のルールとして、追及を受ける方は、資料を持ち込むことができません。つまり、記憶を頼りに証言しなければなりません。


それにも関わらず、ちょっとした記憶違いで証言に多少の食い違いが出ると、偽証罪で議会から告発される恐れがあります。


私が1期目の任期を終わろうとする頃でした。議会に100条委員会を開催され、追及されました。当時、逗子沖の環境調査の事業者の選考をめぐり、幹部職員が不正に加担したのではないかという疑惑がありました。 私が当該職員を更迭したことが100条委員会に呼ばれた理由。


こちらは不正を質している側ですから、やましいところは全くないのですが、何百という市長決裁文書の中から、特定文書について「いつ決裁のハンコを押したのか」の質問に対して例えば一日日付を間違えただけでも、鬼の首を取ったように「偽証罪だ!!」などと、市議に畳みかけられ嫌な思いをしたものでした。


通常の議会では、本会議でも、委員会でも偽証罪に問われるようなことはありません。一方100条委員会は、偽証罪で告発されるかもしれないというリスクに加え、証言の拒否もできません。市長にはとてもプレッシャーのかかる場です。


そんな100条委員会にも弱点があります。それは、市議会に調査権はあっても捜査権はないということです。


ここに"伊東市議会は何をやっているのか"というモヤモヤの原因があります。


今回、焦点となっている卒業証書。


ここまでくると、誰もが確認したいと思うし、市議会のメンバーもそれをきちんと目視して、早く白黒はっきり決着をつけたいことと思います。


ところが100条委員会は捜査機関ではないため、田久保市長が委任した弁護士の事務所に厳重に保管してあるという金庫から、強制的に卒業証書なるものを押収することができないのです(田久保市長の弁護士が言っている刑事訴訟法105条の押収拒絶権とは別の理由です。そもそも押収する権限が議会にはありません)。


100条委員会は、もう一度開催されるようですが、何を聞かれても田久保市長は「回答書に記載した通りです」などと、堂々巡りの答弁に終始し、真正面から質問に答えることはしないと思われます。


一方の市議会議員の方も、普段はなかなか全国中継などされることはないため、そして、何よりも田久保市長に不信任を突きつけると、返す刀で議会を解散され、秋には市議会議員選挙になることから、知名度を上げる千載一遇のチャンス。


ところが、捜査権がないものだから、田久保市長のしっぽを捕まえることができず、悪目立ちして終わっていると指摘されている議員さんもいるようです。


ここまで田久保市長が市長の椅子に居座っているのは、市議会が早く田久保市長に不信任を突き付けてこなかったことも大きな要因です(今、出直し市長選挙をしている沖縄県・石垣市議会は与党議員の思惑があったとはいえ、不信任即決でした)。


いずれにしても、今、伊東市議会で行われている100条委員会は、市議会が市長を不信任するにあたって筋道を通したという既成事実づくりやセレモニーだと指摘を受けてしまっています。


この伊東市議会の袋小路を打開する策はあるでしょうか?


それは、捜査権のない市議会から捜査権のある司法当局に議会が一致して下駄を預けることです。具体的にいうと、市議会が100条委員会の議論を通して、田久保市長を偽造私文書等行使罪(刑法161条1項)で刑事告訴するという選択肢があります。 ちなみに、この偽造私文書等行使罪については未遂も罰せられます(刑法161条2項)。 このため、田久保市長が「約19.2秒」だとか、チラ見せしかしていないと言っても、未遂罪として、卒業証書が偽物ならば逃れられない可能性が高いです。 そうなると益々、卒業証書の真贋がフォーカスされることになります。

田久保市長の弁護士は、刑事訴訟法105条の押収拒絶権を楯に提出を拒む構えを見せていますが、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「拒否できるのは、容疑者本人のためにだけ拒否するという権利の乱用の時には、押収を拒否できないという規定にもなっている」と指摘しています。 世間の常識から考えれば、証拠隠滅は許されないだろうと思います。


とはいえ、実際に押収するかどうかの判断は司法当局がします。


すでに地元の建設会社の社長が公選法違反の疑いで、千葉の公務員が有印偽造私文書等行使の疑いで、それぞれ田久保市長を刑事告発しています。


もちろん、一市民が告発しても重い事実ですが、市民の代表である市議会が、全会一致で田久保市長を刑事告訴したら、その重みは格段に違うものとなり、司法当局は田久保市長から卒業証書なる書類を強制的に押収しやすくなると思います。


市議会が田久保市長に不信任を突きつけることで次のステージに移りますが、せっかくの100条委員会において、議会の総意で刑事告訴に踏み切ることで、100条委員会に捜査権がないという弱点を克服できるようになります。


普通に考えれば、田久保市長が自ら辞職して信を問うという道を選ばず、不信任されるまで居座るという選択肢を取った以上、白黒しっかり決着させるのはこの方法がベターだと考えます。

 
 
 

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