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貸金庫事件、入れられないものとは?


40代の女性、元銀行員が貸金庫から約60人分の資産(時価総額にして十数億円分)を盗んだというニュースで大騒ぎになっています。貸金庫には何を入れたのか記録が存在しないため、盗まれたモノの補償を銀行がどう対応するかについて難題といえます。


この貸金庫に関して、入れるべきでないものが遺言書です。


貸金庫の利用者が亡くなったことを銀行が知るとどうなるか。貸金庫は凍結されてしまいます。


凍結を解除するには相続人全員の合意が必要です。つまり相続トラブルが発生するといつまでも貸金庫を開扉できない可能性が出てきてしまうため、遺言書は貸金庫に入れない方がよいのです。


昨日は、横須賀公証役場で公正証書遺言の作成依頼を受け、午前午後とダブルヘッダーでお客様を車で送迎し、①原本、②正本、③謄本の各3通の公正証書遺言を作成しました。

①原本は公証役場に保管②正本は当事務所で責任をもって保管③謄本はお客様が保管となります。


お客様の中には、生前にどちらかの兄弟に生前贈与しているケース(例えば孫の学費や車の購入支援など)があり、相続の際にバランスを取るために、特定の方に多めに遺言するという場合があります。


被相続人の方が生きているうちに相続財産の差配をしておかないと、ご遺族があとになって骨肉の争いに発展するというケースがあとを絶ちません。


日本財団の調査(2021年調査)によると、自筆証書遺言は2.1%、公正証書遺言は1.3%の割合でしか作成されていません。


人間は最後、もれなく死にますし、すべての方が何らかの形で相続に直面します。


その金額は人にもよりますが、通常、何百万、何千万というお金にもなります。


今回の貸金庫事件を通じて、どこに何を預けるか考えさせられるきっかけになるかもしれませんが、さらに、踏み込んで財産をどう分け与えるかについても考える必要があります。


遺言相続は、高齢者からの依頼よりもそのお子さんからのご相談が多いのです(40代、50代の方)。


受け取る方が将来を見据えて、遺言者と相談して、ご当人にとってのベストな遺産配分を検討されます。


私たちは日々の生活で、1円でも安くよいものをスーパーで購入し、ガソリンも少しでも安いスタンドを探すことに労力を注ぎますが、相続対策であっという間に巨額の資産を失いかねない(逆に得ることもあります)ということを念頭に置くべきです。


こんな大切なことを学校教育でなぜ教えないのか。三権分立も大事ですが遺言相続はみなさんの生活に実は直結しています。







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