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【50億円の損害賠償請求はフジテレビの愛!?】

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今日は不倫の慰謝料請求の示談書締結、そして金100万円の慰謝料の振り込みで無事落着。

お客様から慰謝料請求の相談を受ける際に、その請求額をいくらにするかどうかは悩みどころ。


一般的な相場や過去の判例などを参考にしつつも、見極める際のひとつの材料が、相手方に支払い能力がどこまであるのかという点も見逃せません。


慰謝料請求するのに、どんなに論拠や裏付けがしっかりしていても、相手に支払い能力が無ければ絵に描いた餅になりかねないからです。


まして、自己破産でもされたらお手上げです。


このため、請求額の妥当性の判断に加えて、請求相手にしっかり支払い能力があるかどうかを見極める必要があります。


フジテレビの港浩一前社長と大多亮元専務が、フジ・メディア・ホールディングスから50億円の損害賠償請求を東京地裁に起こされたというニュース。


その請求額に驚いた人も多いですよね。


ちなみに、畑は違いますが役所では環境を守るために、開発計画をなるべく棚上げにして、開発事業者に訴えられたときに職員は賠償金を払うための保険に加入できます。


しかし、私が市長をしていたときは敗訴リスクから、その種の保険には入ることができませんでした。


だから、市長職の権限で市民との合意形成を大義に、計画が進行しないように時間稼ぎをさせて開発計画断念に追い込む場合は訴えられないか、腹の中では多少ひやひやしたものです。


事業者にしてみれば、マンションのワンフロアを下げさせるだけでも数千万、数億円の利益が違ってくるわけですから。


国立市ではマンション計画を規制して元市長が敗訴し、約4556万円を払わされたケースがあります。


元市長は、市民のためにと思ってやったことでこれだけの金額を支払わされるのも癪だったと思いますが、日本ではトップが責任を取らされても通常はこんなレベルかと思います。


しかし、今回のフジテレビの案件は50億円。


港さんと大多さんの二人で割っても25億。


ちなみに、私がフジテレビ在籍中、港さんと会話した記憶はありませんが、大多さんには、新入社員のとき「君、早稲田はどこの学部?」と聞かれたことありました。


「教育学部です」と答えると、大多さんが「フジテレビは、早稲田の教育はいいんだよ」と言って、なぜかといえば、日枝さんも、大多さんもそうだからとかなり真顔で話していました。


お二人ともフジテレビ社員のキャリアとしては非の打ちようがないエリートコースを上り詰めて、最後にこんな落とし穴があるとは夢にも思っていなかったことと思います。


今後、裁判の中で自らの判断の妥当性を争ってゆくことになるかと思います。


また、判決がどうなるかはわかりませんが、請求額があまりに大きすぎて、もし二人で50億円の賠償命令が下されたら、二人は払うことはできないはずです。


いくらフジテレビのトップやNo.2を張ったと言っても、雇われの社長や専務ですから、無理でしょう。


だからMAX請求されたら、自己破産するしかないかと考えます(ちなみに、役員賠償保険に入っていた場合でも上限が10億円のようですから)。


ただし、自己破産でも、破産者が悪意で加えた不法行為。


または、故意や重過失で人の生命や身体を侵害すれば損害賠償の支払い義務などは、自己破産をしても支払い義務が残り続けます。


しかし、今までの報道ベースの情報を見る限り、二人が今回のコンプライアンス違反事件において、悪意、故意や重過失のいずれかの不法行為としてまでは認定されない可能性が高いと思います。


ですから、お二人は自己破産すれば巨額の賠償金から逃れることができる可能性があるということです。


今回の損害賠償金の請求額が、中途半端にフジテレビから1億円や2億円であったら、それは二人にとって払うことができる金額なので自己破産できないことになります。


逆に、50億円もの金額を請求することで、フジテレビとしては社会的責任を果たすために、強い姿勢を内外に打ち出せるうえ、二人にも十分自己破産できる環境を与えようとする、一石二鳥の効果がある。


50億円もの賠償金は、実は元社長と専務へのフジテレビからの愛によるものではないかというのが私の勝手な解釈です。


写真はフジテレビ時代の1カットですが本文とは関係ありません。


 
 
 

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